探偵神宮寺三郎シリーズは、元々ファミコン用のアドヴェンチュアゲームとして発売されたもの。
当時の認識として、ファミコンを含めた家庭用ゲーム機はまだまだ子供のものというのが強かった様に思う。
そんな中で、ひときわ異彩を放っていたのがこのゲームで、その渋すぎる世界観は今も根強いファンを捉えて放さない。
といっても、何を隠そう僕がこのシリーズに出会ったのは四作目からで、 しかもそうとう遅れてプレイしたんだ。
もともと、アーリーアメリカンな雰囲気が 好きで、映画の中の探偵なんかの真似をして古ぼけた格好を楽しんでいた時、 友人に君にそっくりなゲームがあるよと言われたのが最初だった。
今思えば、 全然似ても似つかないのだけど、当時は茶色いスーツにオールバックというスタイルは 同年代の十代のメンバーでは浮いたものだったから、似てると言われたんだろう。

やってみたのが「時の過ぎ行くままに」で、英訳してみれば「As Time Goes By」だから 大好きな映画「カサブランカ」の主題曲が題名と、それだけで映画ファンとしては 興味がそそられてしまう。
次にプレイしてみると、これは当時の推理ゲームに珍しく、 人が誰も死なない。まずそこが気に入った。
次に画面が、内容が回想シーンを主体に展開される のも関係するのだけどほとんどセピアのモノトーンで、雰囲気も抜群。 おまけに主人公の探偵は貧乏そうで、気の強そうな美人助手がいて、しかも 言い回しがやけにまどろっこしい。いちいち自分のタバコでも心中のせりふで 「俺のタバコだ。」と確認してしまう。ここまでくるとちょっと材料が揃いすぎていたのよね。

そのゲームの最後も感動を呼んでしまったので、早速他のシリーズも揃えよう! とおもったものの、僕のやったのはカートリッジだったけど、どうもほかのはディスクシステム だったらしいくらいしか当時は情報がなかった。
時は既にディスクシステム廃止 数ヶ月前。ディスクライターなんてどこにあるの?と言う状況で、途方に暮れてしまった。
ところが、中古屋に行ってみると前作「危険な二人(後編)」が100円で売っている。
買ったはいいけど、前編が無いと遊べないって訳で、早速要らないソフトを買って書き換えにゆく。 記憶を頼りにおもちゃ屋に行って書き換えサービスはしてますか?と聞いた時の店員の顔は 忘れられない。冗談じゃなく、二三秒は停止状態だったね。
結局、その後も中古屋の 策略か「新宿中央公園殺人事件」も手に入れ、次にたまたま入ったファミコンショップにあった 「横浜港連続殺人事件」を見て初めて存在を知るなど、幸運が重なったお陰ですっかりはまったのでした。

ところが、スーファミ時代には出ていない。四作目最後にまた次の事件で会おう と言う意味の言葉がでるのに、続編は出なかったんだ。周りの人間に妄想を 話しつつ時は過ぎ、時代は次世代機。いきなり神宮寺は復活した。それが 五作目「未完のルポ」である。話としては、若干傾向が変わって馴染めなかったけれど、 復活の意義はそれを差し引いてもなんら遜色のないものだった。
そして!神宮寺は 六作目にて最高傑作を迎える。ストーリー、グラフィック、システム、サウンド(これは五作目も 良かったけど)すべてが最高クラスの出来。神宮寺ファンの心配をよそに販売は すこぶる好調のようで、うれしい限り。
もう続編の制作等、企画も商業ベースにのって 大発展、この幸運たるや何?と言う感じだけど、やっぱり成功の原因は丁寧な細部まで配慮の 行き届いた作りでユーザーの声を可能な限り反映したのが実を結んだんだろうね。 これで当分神宮寺のファンだって主張できそうだ。

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