あ、あとは勇気だけだ!
〜ジョー、ミュートスサイボーグ編

敵に加速装置の他に武器は無いのかと聞かれて〜


 

 テストタイプゼロゼロサイボーグ九人の仲間は以下の通り。

001(イワン) ロシア 別名電子頭脳。脳を中心に改造され、100%フルに活用できるようになって、様々な超能力を持つが、見た目は赤ん坊。15日毎に昼夜が訪れるので、一旦眠るとなかなか目が覚めない。
002(ジェット・リンク) アメリカ 両足にジェット噴射装置をつけており、空中をマッハ5で動くことができる。また、ジョーと同じく加速装置を持つ。防御力は弱め。
003(フランソワーズ・アルヌール) フランス 九人の中で一番人間に近い体を持ち、唯一の女性でもある。能力は、透視能力と、何でも聞き分ける耳。テレパシー能力にも優れる。しかしもっとも重要な仕事は001のお守りである。
004(アルベルト・ハインリヒ) ドイツ 別名死神。体の半分以上を機械と武器で占めている。右手はマシンガン、左手は電磁ナイフ、膝にはロケット砲、体内には原子爆弾も内蔵しているらしい。徹底した現実主義者だが、その体を呪っているように見える節もある。
005(ジェロニモJr.) アメリカ 別名アイアンマン。百人力以上の力を持ち、大岩を軽々と持ち上げる。しかし物理攻撃の通用しづらい敵も多く活躍の出番は少ない。頑丈な体を生かして、仲間に捨て身の援護をする。再改造を受け、鉄球を握りつぶして砂に変えるほどの力を手に入れた。
006(張々湖) 中国 口から火炎を吐く。活躍の場は少ないが、熱線を吐くことにより地中を潜行することができる。その事から、別名はモグラ。一番の活躍は、自ら開いた中華料理店で包丁を振るっているときかもしれない。
007(グレート・ブリテン) イギリス ヘソのボタンを押すことにより、どんな動物にも変化することができる。本人の意思で、材質まで変えることが出来、色素を消すことにより透明になることも。年齢は高めだが、子供の姿をとっているときもあった。
008(ピュンマ) アフリカ 別名半魚人。深海活動用に皮膚を強化、エラ呼吸も可能である。物語の途中で体の大半を失い、魚鱗型の装甲を手に入れたが、人間の姿からかけ離れたことに心を痛めているようだ。
009(ジョー) 日本 本名島村ジョー。いわずと知れた主人公。奥歯の横についた加速装置のスイッチを押しつづけることにより、実質時間が静止した状態で行動することができるので、最も優れた能力と言える。また、装甲・腕力、すべてにおいて九人の中では最強。
 彼ら九人が黒い幽霊団(ブラックゴースト)に選ばれた理由は、「さらってきてもあまりさわがれない者であること」という条件を満たしていたから。すなわち、社会的な関わりがあまりなく、社会での重要度が低いことを意味する。それは、人格の全否定ともとれ、もっとも屈辱的なカテゴリではないだろうか。

 実際、みながみな陰惨な状況で改造を受けている。

001は、生まれたばかりで実父から人体実験を受け、脳を発達させたが、止めようとした母親は夫に撲殺され、父親はそのまま黒い幽霊団の科学者となり、消息は知れない。

002は、スラム街の不良グループ同士の抗争の中で、相手をナイフで刺殺してしまい、逃亡を黒い幽霊団に助けられ、捕獲される。

003は、唯一肉親である兄を持っていたが、彼がフランス空軍に在籍していたこともあり一人暮しをしていたが、そこで黒い幽霊団に消えても誰も気づかないと判断され、誘拐、拉致される。

004は、恋人ヒルダと東ベルリンより国境を越えようとするが失敗、恋人は射殺、自らも瀕死の重傷を負う。体の組織の大半はその際に失われ、機械の体となった。

005は、ネイティブ・アメリカンである事からあらぬ人種差別を受け、職を紹介すると言われ黒い幽霊団に誘われる。

006は、重税による貧困に絶望し、自殺しようとしたところを黒い幽霊団に助けられる。

007は、役者としての仕事を失い、アル中になりながら場末の酒場をさ迷っていた。安酒を買う金も無い彼は、黒い幽霊団の誘いに一も二も無く飛びついた。

008は、黒人奴隷として売り飛ばされようとしたところを辛くも脱出。窮地に陥った彼は、黒い幽霊団に助けを求めた。

009は、名も知らぬ外国人の父との混血である事に障害を感じていた。孤児院で育った彼は、世をすねみ悪事を重ね少年院に投獄されることに。そこで集団脱走を決行した夜、黒い幽霊団に誘拐された。

ほとんど皆が家族も無く、親しい付き合いの無い孤独な境遇であることが判ると思う。だからこそ、九人のサイボーグ戦士達とギルモア博士が実の家族以上に一致団結して敵に立ち向かうことが理解できよう。やがて、皆はそれぞれの幸せを見つけ、独立して自分の国で暮らすようになる。それは、お互いに自分を理解してくれる存在があると確信した者の到達する最終的な連帯の形なのだろう。

ちなみに、肉親である兄と別れ別れにされて拉致されたフランソワーズ(003)。しばらく仲間と暮らしていたので、その後の結末が気になっていたのだが、後期の作品で兄と共に食事をとっているシーンがあった。いつの間にか再会できたんだろうね。よかったよかった。
inserted by FC2 system